「骨盤底筋トレーニングが良いと聞くけれど、自分の腟圧はどのくらいなのだろう?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか。
腟圧は、腟内で測定される圧力であり、骨盤底筋群の収縮力を反映する重要な指標です。
女性の排尿機能や骨盤内臓器の支持機能、さらには生活の質(QOL)に深く関わります。
今回、irohaヘルスケア社が同社製の腟圧測定機器(ケーゲルチェッカー)を用いて、全国462名の女性の腟圧(骨盤底筋力)を測定した大規模調査を実施しました。
興味深い結果が見られたので紹介します。
1. 調査結果の概要
全国462名を対象とした最新の腟圧測定調査では、筋力(レベル2の収縮値)の平均値は4.4、基準値を満たした割合は56.5%でした。
年代別では20代がやや高めですが、30代以降は大きな差がなく、全体の約半数は基準値未満という結果です。
また、自慰行為(セルフプレジャー)の頻度が高い方ほど筋力が高い傾向も示され、骨盤底筋を意識した生活習慣が筋力維持・向上に寄与する可能性が示唆されました。
2. 全国腟圧測定調査について
対象者
20代:107名
30代:130名
40代:146名
50代:79名
測定項目
リラックス値:力を入れない時の数値
収縮値:骨盤底筋に力を入れた時の数値
測定は弱い測定(チェックゲージレベル1)と強い測定(レベル2)の2段階
調査期間
2024年7月25日~2024年8月31日
聴取項目
自己刺激(セルフプレジャー)や性交の頻度
出産歴
失禁経験
骨盤底に関する症状の有無
基準値設定
チェックゲージのレベル1を閉じ切れる(数値9)状態を「十分な筋力」と判定。
これは臨床現場で用いられるオックスフォードスケールの基準に合わせています。
オックスフォードスケールとは、骨盤底筋の収縮力を0〜5の6段階で評価する、臨床で広く用いられる筋力評価スケールです。
3. 調査結果
骨盤底筋の筋力が基準値以上の人の割合
骨盤底筋の筋力が基準値以上だった年代別の割合を示します。

年代別の基準値以上の割合
- 20代:60%以上
- 30代〜50代:およそ50%前後
加齢による急激な低下は見られず、日常の筋肉使用やケアの有無が影響していると考えられます。
全年代で、約半分の人は骨盤底筋の筋力が基準値未満であることがわかります。
年代別:骨盤底筋の筋力の平均値


※全年代はウェイトバック集計後の結果
リラックス値は力を入れていない安静時の数値、収縮値は意識して締めたときの数値を表します。そして両者の差(収縮値−リラックス値)が、実際に締める力=発揮できる筋力を示します。差が大きいほど、しっかり締められていることを意味します。
筋力はレベル1・レベル2ともに20代がわずかに高いものの、40代と50代が極端に下がるわけではありません。
「加齢 = 急激な低下」ではなく、普段の使い方やケアの有無が影響していると考えられます。
※ウェイトバック集計
ウェイトバック集計とは、調査対象者の年代構成比を実際の人口比に合わせて調整する統計処理です。人数の偏りを補正し、より実態に近い平均値を算出できます。
自慰行為(セルフプレジャー)頻度と骨盤底筋の筋力との関係
次に普段のセルフプレジャー頻度別の測定結果を示します。
調査対象者の年代別セルフプレジャーの頻度は以下の通り。

セルフプレジャーの頻度別に、各年代の筋力の測定結果(平均値)を示します。


全世代に共通して、「月1回以上 週1回未満」と「週1回以上」に大きな差がなく、月1回程度でも継続的に骨盤底筋を刺激する習慣が、筋力の維持に寄与していると読み取ることができます。
また、30代以上では、自慰行為(セルフプレジャー)の頻度が「月1回未満」のグループに比べ、「週1回以上」のグループはレベル2の平均収縮値が明確に高い傾向でした。
4. 骨盤底筋トレーニングに年齢は関係ない
今回の全国腟圧測定調査の結果からも、骨盤底筋の筋力を鍛えるには「もう遅い」ということはありません。
確かに20代は基準値を超える割合がやや高い傾向にありましたが、30代・40代・50代と進んでも極端に低下するわけではなく、年齢を重ねても十分な腟圧(骨盤底筋力)を維持している女性は少なくありません。
骨盤底筋は手足の筋肉と同様に「使えば応えてくれる」筋肉群です。
年齢によるホルモン変化や妊娠・出産、加齢に伴う姿勢の崩れなどで負荷はかかりますが、その分トレーニングによる伸びしろもあります。
骨盤底筋はインナーマッスルの一部として腹横筋や多裂筋と協調し、姿勢保持や呼吸、内臓の位置安定に関与しています。
日常的に鍛えることで、このように多方面での健康維持が期待できます。
- 尿失禁や骨盤臓器脱の予防
- 腰痛や骨盤痛の軽減
- 骨盤内の血流改善
- 性機能の維持
腟圧測定で現状を把握し、小さな習慣から鍛え始めることが大切です。
日常生活に取り入れやすい“ながらトレーニング”例
- 歯みがき中に5秒間締めて5回繰り返す
- 電車で座ったら、発車から停車まで締める ⇔ 緩めるを繰り返す
- 就寝前に仰向けで、深呼吸に合わせて骨盤底筋を10回リズム収縮
こうした短時間の刺激でも、積み重ねれば腟圧は確実に向上します。
5. 腟圧を測定する理由・メリット
腟圧測定の最大の目的は、骨盤底筋機能の正確な現状把握です。
骨盤底筋は体の奥に位置し、腕や脚のように外見で衰えを直接確認することができません。
そのため、気づいたときには尿失禁や腟のゆるみ、骨盤臓器脱などの症状が進行している場合もあります。
腟圧測定を行うことで、このようなメリットが得られます。
①腟に関する症状の早期発見と予防
全国調査では、レベル1のチェックゲージを閉じ切れた人は全体の56.5%にとどまりました。
裏を返せば、約4割の女性は筋力不足の可能性があります。
腟圧測定によって“黄信号”を早期に察知できれば、重症化を防ぐ対策が取りやすくなります。
②トレーニング効果の可視化
骨盤底筋トレーニングは、少なくとも3カ月程度の継続が推奨されます。
しかし、効果が実感できずに途中でやめてしまう方も少なくありません。
腟圧測定器を使うことで、収縮値やリラックス値の変化を数値で確認でき、モチベーションの維持につながります。
③個別プログラム設計
測定結果は、弱点の特定にも役立ちます。
例えば、リラックス値と収縮値の差が小さい場合は「筋肉の動かし方」に課題があり、ゲージを閉じ切れない場合は「筋力不足」が課題となります。
この分析を基に、腟マッサージと筋力強化を組み合わせるなど、効果的な改善プランが立てられます。
④ライフイベント前後の体調管理
妊娠・出産、更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期は骨盤底筋に負担がかかります。
あらかじめ腟圧の基準値を知っておくことで、産後のリハビリや更年期ケアの参考になり、医療機関への相談もスムーズになります。
⑤性機能と性生活の満足度の向上
調査では、自己刺激(自慰行為)や性交の頻度が高い女性ほど、腟圧が高い傾向がみられました。
筋力が十分にあることで腟の潤滑機能や感受性が向上し、パートナーとの性生活の質を高める可能性があります。
⑥メンタル面へのプラス効果
数値で成長を実感できることは、自己効力感の向上につながります。
腟圧が上がったことで「姿勢が良くなった」「下腹部が引き締まった」といった変化を感じる方も多く、日常の不安やストレス軽減にも役立ちます。
6.トレーニング継続のカギは数値の可視化
骨盤底筋は外からは動きが見えず、正しい動作ができているか自分では判断しにくい筋肉です。
そのため、「やっているつもり」になってしまう、効果が見えずに挫折してしまうことがあります。
そこで重要なのが「腟圧測定による数値の可視化」です。
たとえば、現在のレベル1収縮値が6であれば、まずは7を目指す目標を設定します。
1週間後に7に到達すれば達成感が得られ、その先も続けやすくなります。
もし伸び悩む場合は、呼吸法の工夫や自己刺激、エクササイズ内容の変更などで刺激を変えてみましょう。
数値の変化は小さくても意味があります。
収縮値が0.5メモリ上がっただけでも、腟圧が向上した証拠です。
グラフで推移を確認できれば、「昨日より伸びた」「3カ月前より安定している」といったポジティブな実感が増え、トレーニングの習慣化に直結します。
7. まとめ
全国462名の腟圧測定結果から、骨盤底筋は年齢に関係なく鍛えることができる筋肉であることが示されました。
平均値はレベル2で4.4、基準値をクリアした割合は56.5%ですが、日常的なトレーニングや生活習慣の工夫によって、数値は着実に向上します。
骨盤底筋の筋力を鍛えることで、尿失禁や骨盤臓器脱の予防、性機能の維持、生活の質の向上など、多方面でのメリットがあります。
特に、測定器による「見える化」は小さな変化を励みに変え、継続のハードルを大きく下げます。
今日からできる簡単な一歩
深呼吸に合わせて骨盤底筋を5秒間ギュッと締める。
その小さな習慣が、将来の快適さと健康を守る大きな力になります。
irohaヘルスケアの「ケーゲルチェッカー」のような測定器を活用し、自身のリラックス値と収縮値を知ることができると、トレーニング継続の助けになるはずです。

※本記事はセルフケアの一例であり、症状の強い方は医師にご相談ください
